幻のアジの干物 










 
 
アジとサバ 仕掛けや、釣りかたが似ているのでいっしょに扱われることが多い魚です。初心者でもご近所に配れるほど数釣れることも珍しくなく、しかも美味なので、入門魚としてはたいへんすぐれものです。アジを狙ってサバが2〜3割位混ざるのが理想的ですが、釣れるのはサバばかりという日も珍しくありません。普通アジとサバは同じような岩礁地帯で生活していますがサバのたな(魚層)はアジのそれより上にあります。だから、サバの群れが大きいと仕掛けがアジの群れに届かないうちに全部サバに食われてしまい結果として、サバばかり釣れるということになります。こういうときには錘(おもり)を重くして早く餌がアジの群れに届くようにすることが必要になります。

 パラオに住んでいた頃、小さな自家用の桟橋がアジの群れにすっぽり囲まれてしまったことがありました。一辺2メートルほどの半透明な立方水域にアジがびっしり詰まって、全員一方向を向いてゆらゆらゆれているのです。
 数は一千匹ほどもいたでしょうか、近海で発生した熱帯性低気圧からの避難場所として湾の一番奥にある我が家が選ばれたのでした。

 


 せめて20枚位は干物にしたいと、銛(もり)や網を背中に隠してそーっと近寄っても一定距離を保って決して近寄らせず。悠々と遠ざかり、いつの間にかまた元の場所に帰っていました。自信満満でしかけた巻き網も小さな穴を見つけて一匹が外に出ると、一糸乱れず全員がするすると抜け出ていきました。
 こんな攻防を数日繰り返し、ある朝気がついたら、晴れ上がった空の下、海面から二重の虹が立っていて、アジは一匹残らず姿を消していました。

 魚皮、ゴムなどを使うサビキ釣りと、紅染めのイカなどをサイの目に切って餌にするビシ釣りがありますが、どちらもオキアミや魚肉のミンチなどを撒き餌にして、魚を狂乱状態にして釣り上げます。サバは口が堅いので針が掛かるとめったに抜けることはありません。引きも強いので強引に巻き上げないと周りの人の仕掛けと絡んでひどいことになります。アジの口はサバと違ってすぐ千切れてしまうので強引に合わせたり、巻き上げたりせずに竿を立ててゆっくり一定の速度でリールを巻き続け、2匹め、3匹めの追い食いを待ちます。
[くれ竹通信 Vol.33 2006年9月 から]

 
     

 

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