美味さと怖さは裏表 











 葉山で良く釣れ、釣人から嫌われる魚にクサフグがいます。下山川や森戸川の下流域の水面を見ているとずんぐりした小魚が忙し気に泳ぎ回っているのを目にするでしょう。他の魚のように尾を振ってスピードを上げたりは出来ず、川上から流れてくる餌をせっせと食べています。
 クサフグは変わった産卵習性を持っていることで有名です。テレビでもたびたび報道されるので、見た方も多いと思います。
 5〜7月の大潮時、千葉の小湊や三浦の諸磯周辺の礫や小石の波打ち際に大群で押しかけ、陸上に乗り上げて、1尾のメスに5〜6尾のオスがたかり、噛み付いたり身を震わせたりでヌルヌルの大乱交。周辺の海水はオスの放った精液で真っ白になり、ついてきた若魚たちは産み出されたばかりの卵を貪り食う。卵は強毒ですが若いフグは、平気で食べ続けます。大きさは15センチ前後と小型ですが毒性は強いので決して食べないように、子どもたちにも怖さを十分教えてください。

 クサフグと同じような大きさで波止場やボートでたまに釣れるキタマクラ。背中が黒褐色でフグには珍しく平べったい魚です。恐ろしい名前ですが、毒は名前の割に弱いとされています。でも無理をして食べるほどの魚ではありません。どちらも釣れたら放してやりましょう。

 


 味も価格も最高で、フグの中のフグともいわれるのがトラフグです。幸か不幸か葉山では釣れないでしょう。本場は山口県と九州北部で50センチから大きなものは70センチにもなり専門の漁師が延縄(はえなわ)や一本釣りでていねいに釣り上げます。
 地元か料亭以外ではなかなか口に入らなかった高級魚フグも流通の改善で庶民的な食べ物になってきました。将来を見越した養殖も順調にスタートしましたが、思いがけぬ誤算は共食いで、ふ化後一定の時間が過ぎると相手をくちばしのような前歯で攻撃し、穴をあけたり、つつき殺してしまうというひどさで関係者は頭を抱えていました。
 結局この難問は共食いを始める前にペンチで前歯を切り取ってしまうという荒療治で解決したようです。
 ふ化後人工餌だけで育てると無毒のフグになることもわかりました。「喜んでくれると思ったら内緒にしてほしいといわれました。完全無毒じゃ値がつかないそうです。むずかしいものですな」長年毒魚の研究を続けるO博士の話です。
[くれ竹通信 Vol.35 2007年1月 から]

 
     

 

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