海の魅力 いまは昔、葉山沖の初ガツオ 









 目に青葉 山ほととぎす 初ガツオ

春先、葉山の沖から房総半島の端をかすめて、その年初めてのカツオの群れが黒潮に乗って北上する。
 待ち構えた漁師たちが帆を上げ櫓を操って、カツオドリの乱舞する海域に突っ込んでいく。
 船の回りは海域が盛り上がるようなイワシの群れ、それを切り裂くように紡錘型の魚が走りまわる。大事に生かしておいたイワシを針につけ海中に放す。すぐにがつんと大きな当たり。
 群れを散らさないように素早く取り込まなくてはならない。
 釣ったカツオがいたまないうちに浜に帰らなくてはならず。ねばればまだ釣れそうだ。餌は……と、漁師の心は千々に乱れたに違いない。

 かつては限られた時期だけに現れる超高級魚。女房を質に置いても初ガツオだった。

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 その後、漁法は長足の進歩を遂げ、高速の漁船で、群れを追いかける時代が始まった。海水をポンプで汲み上げ、海面にシャワーを叩きつけて興奮したカツオを大量に釣り上げるという画期的な漁法が開発された。
 シャワーの中をゆらゆらゆれる擬餌を狙って海中からカツオが猛スピードで飛び上がってくる。その勢いを利用してカツオを高だかと空中に引き抜くのだ。
 ピーク時には、甲板は前後左右から砲弾が降り注ぐ戦場のような有様。
 激しく痙攣する銀色の横腹に黒い縦縞がくっきり現れてくる。
 冷凍船の普及で外洋での網漁が可能になり、世界中から集められたかつおは値頃の大衆魚になった。
 焼津では校庭に転がした丸太に乗った小学生が竹竿の先に一升瓶を吊るして一本釣りの稽古をしたというが、今もそんな光景が見られるだろうか。
[くれ竹通信 Vol.25 2005年5月発行]

 
     

 

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