〜自然豊かな葉山の“水”にまつわるはなし〜

 ひっそりと横たわる高原の湖。そんな雰囲気すら漂わせている池が、葉山に・・・。峰山の山頂近くにある大池がそれです。峰山は長者ヶ崎の大崩から湘南国際村へのびるゆるやかな尾根のことで、標高は100〜140mほど。北側は下山口、南側は横須賀市の秋谷になります。
 その尾根のくぼ地に天然の水が溜まってできたのが大池で、全体は扇のようなカタチをしています。大きさは長さ約50m、幅約30m、周囲約150mといったところ。水深は1mくらいですが、雨が降った前後で深さも大きさも変わってしまいます。
 現在の大池は中ほどにはヨシがはえていて、周囲をツバキ、モミジ、スギ、ヤマザクラ、クスノキ、クヌギなどの樹林に囲まれていますが、40年くらい前にはススキやカヤの原っぱのなかにぽっかりと水面が見えていました。
 魚は住んでいないようですが、、春から夏にかけてはカエルの声が響きます。またそのころにはゲンゴロウの仲間や珍しいコオイムシといった水棲の昆虫も見られるかも知れません。
 大池へのアプローチは下山口の「茅木山の庚申塔」のわきを上がっていき、高台の住宅街を進み、途中を右に折れて山道に入ります。
 しばらく、いくと畑があって眺望が広がり、日陰山や湘南国際村から上山口の山並みまで見わたすことができます。畑の中の一本道を150mばかり歩くといよいよ樹林のなかへ。草を踏みわけていくと大池までは10分ほどで着くことができます。
 日ごろ見慣れた海や川とはひと味ちがう趣きにひたれる峰山の大池、時おり訪ねてみてはいかがですか。
 なお、帰路のおすすめは、山越えで秋谷方面へ下るルート。舗装された坂道からは眼下に広びろとした海を見晴らすことができ、爽快そのものです。

一幅の絵画のような
秋谷から望む眼下の海
生の自然がまだ残る大池
どこか魅惑的な峰山の尾根

記事:くれ竹通信vol.25[2005.5]より

谷戸の奥まったあたり、山の緑を映して静まる水面。
野鳥が水を浴び、小動物たちが水を飲み、ときおり魚がはねていた溜め池。  

  明治時代の地図でると、葉山にはこうした溜め池が堀内の戸根山、一色の谷、上山口の新沢と猪俣川上流、木古庭の高祖坂といり入など、6ヵ所前後にあったようです。これらの溜め池は、どれも葉山の中央部を東西に横切っている山地の南側の谷戸につくられていました。おそらく地形や地質、水田の分布、水利用の利便性などがその理由でしょう。
 溜め池は、もともと水田に必要な水を安定的に供給するためにつくられたもの。ですから溜め池の存続も消滅も水田しだいということになります。

 では葉山の溜め池は、どうなったのでしょう?  堀内牛ヶ谷の溜め池は、現在の福祉文化会館(それ以前は廃棄物焼却場)のところにあったもので、葉山で最初に埋められた溜め池と思われます。 水田が広がっていた場所に葉山小学校がつくられ、さらに牛ヶ谷や向原に住宅ができはじめて、水田に使う水の必要がなくなり、無用の長物になったからでしょう。  一色の谷にあった溜め池も住宅団地が造成された1970年代ころに埋められて、今では一色岡公園に生まれ変わっています。  上山口の新沢と猪俣川上流にあった溜め池は、長い年月のあいだに枯れ木や落ち葉、土砂などが流入して埋まってしまい、堤のあとだけが面影を残しています。また畠山の南東のふもとにあった溜め池の跡地は木古庭児童遊園になっています。

 こうして消えていった仲間たちのなかで、幸運にも唯一残ったのが木古庭・高祖坂の溜め池です。それも放置したままでは、あと数年で埋まりそうな状態でした。この、もはや文化遺産といってもよい葉山最後の溜め池を、なんとか復活させようとする活動が「葉山・メダカの会」を中心とした人々によりはじまっています。
記事:くれ竹通信vol.24[2005.3]より


 「汽水」というコトバを、どこかで聞かれたことがありますか?  
「汽水」とは、川の真水と海水とが混じりあう河口付近の塩分濃度が低い水のことなのです。  
そして、この「汽水」のある一帯のことを「汽水域」と呼んでいます。

 葉山では森戸川と下山川の河口がこの「汽水域」になっています。  「汽水域」は、潮の満ち引きや川の水量の増減によって変化します。 森戸川ですと、亀井戸橋の付近から森戸神社の下の岩場一帯まで、下山川では主馬寮橋の川上から御用邸の先の大浜と小磯の付根あたりまでと考えてよいでしょう。

   こうした「汽水域」では、海と川の両方の生物を見ることができます。  とくに春から夏にかけてはアユやウナギの稚魚、ハゼ、イナ(ボラのこども)、クサフグなどが見られます。また放流されたコイもゆったりと泳いでいます。 魚以外ではモクズガニ、アカテガ二、テナガエビが いますが、最近はすっかり減ってしまいました。そのほかにこれらの小さな魚を餌とするサギの仲間やカワウ、ウミウの姿を目にすることもできます。

 もし時間があったら橋の上に佇んで川面をのぞいてみてください。川底が見える時もあれば、水が満々となっている時もあるでしょう。 そして、そんな時には塩辛さに、ほんのりと甘さが入り混じったような「汽水域」特有の匂いを感じとることができるはずです。

下山川河口付近
下山川のサギの仲間
クサフグの群れ

記事:くれ竹通信vol.22[2004.11]より


ススキのような細長い葉を持つ草が、
長者ヶ崎の断崖の下の海中に生えているのを知っていますか?  

 海中にあるのだから、海藻だろうと思つたら大まちがい。学名‥Zostera Marina(ゾステラ・マリナ・リン)、和名‥アマモという植物で、もともとは地上で進化した草の仲間です。その証拠に花も咲けば、根も張っているのです。きっと太古の昔に棲みかを水中に求め、やがて海まで下って環境に適応していったのでしよう。  このアマモは水がキレイで波の静かな水深2メートルくらいの砂地を好み、五〜六月頃に黄色っぼい小さな花を海面に咲かせます。

  長者ヶ崎でいまアマモが生えている海底は、以前は岩棚だつたところで、テングサやワカメ、カジメといった海藻が多かったのですが、しだいに砂が堆積してきて、しかも水質が良いところから、アマモの生育につごうのよい環境になっているようです。  アマモはときにはウミヤナギ、アシモ、モシオグサなどとも呼ばれます。 このうちのモシオグサというのは、その昔、アマモを浜に積みあげて海水をかけ、乾燥させてから焼いて塩を採ったことに由来しています。

夕凪に 藻塩[もしお]焼きつつ 海少女[あまおとめ]   
ありとは聞けど 見に行かむ

という歌が万葉集の第六巻に詠まれています。

水のきれいな砂地の海を好むアマモ
         木村 尚 撮影

 

記事:くれ竹通信vol.21[2004.9]より


●木古庭・湧井戸(ワクリド)
不動滝に近い民家のそばにある
自噴井戸で、 現在でも使用され
ています。

 

●木古庭・不動滝      

付近からは縄文時代の遺跡
も発見されました。

大崩に連なる峰山の北麓端の丘に
ある 万福寺では、現在も井戸が
使われています。

記事:くれ竹通信vol.20[2004.7]より

 

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